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by watarajp

読了「精神と情熱に関する八十一章」

アラン「「精神と情熱に関する八十一章」を読みました。
この第一部こそ面白いと思います。タイトルは「感覚による認識」。

普段当たり前に行なう「見る」という行為においてだまされるか、錯覚に陥るか。そんなことを例にとりながら、感覚が以下に自分の過去の経験をもとに行なわれるか、そして、それらが運動を前提としており、時間さえも感覚しうるのは、変化によって、運動によって、過去、現在、未来を理解しうること。えぇー、時間も。???と思ったのだが、ある意味当たり前である。変化を観る自分がいるから、時間を感覚ができること。五官が感じるそれさえも、学習の結果であること。このことは、私には、感動的だった。小さい赤ん坊は見ている、泣く、笑う、でもそれを記憶することがない。ものごころつく、ということは、学習の結果によって、脳に記憶できるようになることだ、何てことも読みながら連想しました。

筆者が、「これを思えば、子供が、見たものをつかもう、聞いたものをみようとして、間違いを重ねながら稽古したことにもすぐ気がつくはずだ」意味深いと思いました。

「記憶」の章で次のように語られるのは、納得がいく。
「知覚するとは常に思い浮かべることだ。だから、簡単な知覚にも、知覚のうちには、いわば暗黙の記憶がある。僕らの経験の総和がおのおのの経験に集まっている。並木道を目で知覚するということは、その道を、あるいは他の道を通ったことを思い出すことだ。木にさわったことがあるとか、木陰とはどんなものか、遠近とはどんなものか、その他いろいろなことを理解していたことを思い出すのだ。木陰は太陽でできるとか、太陽の知覚はいつも間接の知覚だということ自体に数限りない経験が含まれているからこそ、僕らの経験の総和は、おのおのの経験に集まっているというのだ。」「ここで問題なのは、暗黙の記憶であって、適切にいうと思い出ではない」
「もしどんなものの知覚の内にも、幾千という記憶が閉じ込められているものだとすれば、その物は他のさまざまな物のただなかで考えられた物ということになる」。また、その物とは、あらゆる方角に無数の道が通じているちまただともいえる。」
「未来とは、ある意味で、僕らにはいつも現在だとさえいえよう。・・・・・同様に、空間のいろいろな大きさにしても、時間との関係、実際であると同時に可能な時との関係なしにはあるがままではない。時間の可能性は、位置の形で考えられていることを申し添えたい。なおまた、前とか後とかいう言葉が、時間とともに空間も限定していることは言うまでもない」


私にとっては、メ目からオロコでした。

年齢をとることについて、ああいいなぁと思った言葉は第一部第十五章の「持続の感情」です。
「時間の本来の性質とは、その取り返しのできない変化だ。過ぎ去った時は永久に今とはならない。同じ印象がまたかえってきても、僕は依然としてその印象をかつてかんじた者だ。春はすでに幾春かを過ごした人を訪れる。生き物がみな老いるように、どんな意識でも取り返しがつかず、年をとるものである。真の時間とはそういうもので、いろいろな運動が僕らに時間らしいものを与えるにすぎない。この時間は僕の中にしかない、僕のためにしかない。僕が一つの物体を思いうかべると、物体のどんな部分でも、初めの状態のままで心によみがえる、幾度でもよみがえる。これは理解できる。なにものも過去とはなるまい。しかし、僕という証人にとっては、ある物の二度目の印象は、その最初の印象にかわりにはならない。印象は付加されるのだ。僕は貯蓄するから年をとるのだ。」

いい言葉だって思います。

「時間もまた空間と同じく、普遍的な経験の一形式だということだ。この真理は少しも新しくない。しかしこれをよく理解するということが常に新しいのである」

言葉は、ともかくうつ病を患う自分には、みずからの思考を考え直し、自分をよく生かしていくためにガガガーンと来た言葉でした。時間が変えてくれることを望むのでなく、自分が自分で望んだとおりに考えることによってよく生きたいと思うのです。

第一部第十七章「主観的なものと客観的なもの」

僕が僕であるのは、さまざまな真実な知覚の唯一の連続による、ここに記憶の原理があるので、他のすべてはここにかかっている。鋭敏な人がまず物とか物の破片とかを探って、昔の感情を求めるのはあたりまえなことだ。僕はこの世によって自分自身を考えるにすぎない。外界の物の存在を証明するには自意識というものでたりる。と、なかなかむずかしい定理だが、カントは言っている。」


なかなか面白い。

第二部、第三部は意外に難しく感じましたが、その後の、第四部以降も現実的でとても面白いです。


アラン大好きだ、と改めて思いました。
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by watarajp | 2011-04-14 12:23 | 読書