読書と日常がメインの日記です。


by watarajp

「金が語る20世紀」鯖田豊之著

「金(ゴールド)が語る20世紀  金本位制が揺らいでも」を読みました。
この時期の中で大戦間の為替については、とても関心がありました。それは、大学時代のゼミの研究テーマが、このころのケインズの著作集を読みながら勉強したからです。
この本一冊読むと、意外とそのとき知らなかったこと理解できなかったことがいろいろ分かってきました。所詮、学部のゼミなんてその程度のレベルかもしれません。(当時は、バブル真っ只中で大学は、レジャーランドといわれた時期ですし)
金(ゴールド)が単なる鉱物でなく通貨としての意味は、どちらかというとマルクス資本論的理解が、私の中にありました。いわゆる価値形態論です。貨幣の必然性を論理的に分析した面白い叙述です。
ただ、現実については、さほど知らず、金の持つ意味・その重要性をこの本でとてもよく分かった気になりました。とりわけ、序章の太平洋戦争期の金現送は知らなかった事実です。また当時のポンドの位置やドルの位置、非常に関心を持ちました。
WW1後のドイツ賠償問題は、非常に楽しく読みました。若干の知識もありましたが、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、それぞれの政治的思惑、戦後のイニシアチブをめぐって、さらに中国への利権・干渉など金・通貨という観点からの歴史書って言う感じです。
ニクソンショック以降ドルと金は中央銀行間においても全くリンクしなくなり、金そのものも投機の対象になってしまいましたが、中央銀行と政府の信用によってのみ成り立つ現在の通貨管理制度を考える意味でも良書といえるでしょう。
20世紀の時代を戦争と平和の時代とするなら、その物質的基礎は、ゴールドとオイルじゃないかと思ってしまいます。(この本は、オイルについてはほとんど論じていませんが)
経済の歴史的現実を学ぶことが歴史(政治や戦争や社会などの)の基礎になると思うと改めて思いました。
もちろん、20世紀がテーマですから、戦後のIMF体制やニクソンショック後の様子、ユーロダラーやオイルダラーの動き、ユーロの胎動、などなど盛りだくさんではありますが、私の関心は、やはり20席初頭の金本位制と二つの大戦間、そしてIMF体制へのあたりです。
唯一の大国へアメリカが成長していったその軌跡が分かる気がしました。
[PR]
by watarajp | 2006-06-07 21:06 | 読書